s21)ネットワークの基本とその役割
2025年07月31日
パソコンやスマートフォンといったクライアント端末が、インターネット上のサーバー(サービス提供側のコンピューター)にアクセスするためには、ネットワークという通信の仕組みを経由する必要があります。このネットワークとは、複数のコンピューターやデバイスが通信回線(有線や無線)を通じて相互に接続され、情報をやりとりできる状態を指します。
たとえば家庭内ではWi-Fiルーターを介してスマホとパソコンがつながっていたり、企業では社内LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を使って複数の端末が一元管理されたりします。
これらのネットワークを活用する主な目的は以下の2つです。
■データの共有や転送
ファイル、文書、写真、動画などを他のコンピューターに送ったり、受け取ったりすること
■サービスの提供と利用
ウェブページの閲覧、メールの送受信、クラウドサービスの利用など、サーバー側が提供する機能をクライアントが使うこと
このように、ネットワークは私たちが日常的に利用するインターネットサービスの土台となる重要なインフラです。

ネットワークの意味とコンピューター分野での使い方
「ネットワーク(Network)」という言葉は、もともと「網の目のように広がるつながり」を意味し、人間関係や組織、交通手段など、さまざまな分野で使われてきました。
たとえば、
・交通網(道路や高速道路が都市や地域を結ぶ)
・鉄道網(鉄道が複数の駅をつなぐ)
・連絡網(学校や地域社会での連絡手段の仕組み)
・人脈ネットワーク(ビジネスや友人関係のつながり)
これらはすべて個々の要素が相互につながり、情報やモノ、サービスなどが流通する仕組みを表しています。
インターネット以前のコンピューターネットワークの歴史と通信技術のはじまり
現在、コンピューターネットワークといえば、真っ先に思い浮かぶのがインターネットですが、その歴史はインターネットの登場以前から始まっています。
インターネットの前身とされるARPANET(アーパネット)が誕生したのは1969年ですが、それ以前の1950年代から1960年代初頭にかけて、すでに初期的なネットワーク通信が存在していました。
その一例がテレックス(Telex)と呼ばれる通信システムです。
これは、テレタイプ(タイプライター型の端末)を使って、遠隔地のコンピューターやオペレーター端末と情報をやり取りする方式で、国際電信網を使って文字ベースの通信が可能でした。
さらに、この時代には以下のような技術も登場しています。
・タイムシェアリング・システム(TSS)
複数のユーザーが1台の大型コンピューター(メインフレーム)を、同時に共有して利用できる仕組み。
・モデムを使った電話回線経由の通信
離れた場所の端末や初期のミニコンピューターと接続し、データを送信する技術。
これらの技術は、今のインターネット技術の土台となる重要なステップでした。
つまり、現代のネットワーク社会は、これら1950年代~60年代の技術の積み重ねの上に成り立っているのです。
ネットワークの種類とその分類方法
LAN・WAN・インターネットの違い
ネットワークにはさまざまな種類があり、その分類方法にはいくつかの視点があります。代表的な分類基準には、
・規模(どのくらいの範囲をつなぐか)
・接続形態(有線か無線か、集中型か分散型か)
・通信プロトコル(どのような通信ルールを使うか)
などがあり、中でも最も一般的かつ実用的な分類方法が「規模による分類」です。
LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)
LANは、家庭や学校、オフィスなど限定された小さなエリア内で使用されるネットワークです。
特徴としては、
・比較的短距離で構成される(建物内やフロア内など)
・通信速度が速く、安定している
・導入・管理が比較的簡単
例:家庭のWi-Fi環境、社内ネットワーク、大学のコンピューター室
WAN(Wide Area Network:広域ネットワーク)
WANは都市間、国際間など広い地理的範囲をまたいで構築されるネットワークです。
・長距離の通信が可能(遠く離れた拠点間をつなぐ)
・通信インフラは通信事業者の回線を利用することが多い
・導入コストや管理は比較的高いが、広範囲での通信が可能
例:銀行の全国ATMネットワーク、企業の本社と支社をつなぐネットワーク
インターネットの位置づけ
インターネットは、無数のLANやWANが相互に接続された巨大なWANの一種です。
世界中のネットワークをルーターやゲートウェイで結び、標準の通信プロトコル(TCP/IP)を通じてデータのやりとりができるようになっています。
つまり、インターネットは「ネットワークのネットワーク」とも呼ばれ、WANの中でも最大規模を誇る存在です。
