s17)メールサーバーとは

2025年04月29日

メールサーバーのしくみ

Webサイトを閲覧する際にはブラウザにURLを入力してDNSサーバーを通して情報がある場所を教えてもらい、ブラウザへ返ってくる仕組みでした。ネットの機能はこのようなWebサイト閲覧のほかに、メールの送受信にも使われています。
送信するとすぐに相手に届くメールですが、メールもパソコンやスマートフォンから直接送られているのではなく、メールサーバーを経由しています。メールでやりとりを行う時にもサーバーが活躍しているのです。

それぞれのメールアドレスには必ず、メールを送受信するためのメールサーバーが用意されており、メールの情報を互いのメールサーバー間で渡し合っています。

①Aさんがメールを送信する際にはまず自分のメールサーバーにメールを送ります。
②メールサーバーは宛先のメールアドレスを担当するメールサーバーを探してメールを送ります。
③ 相手のメールサーバーは受け取ったメールを自身のストレージに保存します。
④Bさんがメールを受信する際には自分のメールサーバーに自分宛のメールが届いていないか問い合わせます。
⑤ 届いていた場合には、 メールサーバーに保存されていたメールが送られて受信が完了します。

※クライアント側の端末でメールを送受信する役割を果たすソフトウェアをメーラーと呼ぶこともあります。
※メールを送信する際に、送信先のメールサーバーのIPアドレスを知るために、DNSサーバーへの問い合わせが行われます。

メールの送受信で使われるプロトコル

コンピューター同士が情報をやりとりするときには、「ルール(決まりごと)」に従って通信しています。このルールのことを「プロトコル」と呼びます。たとえば、メールを送ったり受け取ったりする時には、SMTP(エスエムティーピー)、POP(ポップ)、IMAP(アイマップ)という決まったルールが使われます。
パソコンやスマートフォンでメールを設定する時に、これらの名前を見たことがある人も多いと思います。

SMTP

SMTPは、メールを「送るとき」に使われるルールです。たとえば、パソコンやスマートフォンからメールを送信したり、送ったメールが別のメールサーバーに渡されたりする時に使われます。これは昔からある、シンプルな仕組みです。

SMTPは「送る」ことに特化していて、送信する側がタイミングを決めて動きます。一方で、メールを「受け取る」側は、常に準備ができている前提になっているので、パソコンやスマホなどの受け取る側の機器にはあまり向いていません。
なお、メールを送ろうとしてうまくいかない場合は、SMTPの設定に間違いがあるかもしれません。

POPとIMAP

パソコンやスマートフォンがメールを受信する時には、送信に使うSMTPではなく、「POP」や「IMAP」という“受け取る専用のルール”が使われます。メールのやり取りの中で、パソコンやスマホが受信側になるのはメールサーバーからメールを取りに行くときです。そのときにPOPやIMAPが活躍します。

POPやIMAPはパソコンやスマホから「新しいメールが届いているかどうか」を確認する形で通信を始めるため、自分のタイミングで受信できる仕組みになっています。

POPは、受信したメールをすべてパソコンやスマホに保存して、読んだかどうかやフォルダの整理などもその機器の中で行います。2025年現在、POPとして利用されているプロトコルのほとんどは、3つめのバージョンであるPOP3(Post Office Protocol version 3)です。

一方、IMAPは、こうした操作をすべてメールサーバー側で行い、パソコンやスマホは「見るだけ」という形になります。そのため、IMAPでメールを削除すると、サーバーからも削除されてしまい、他の端末からも見られなくなるので注意が必要です。

また、1つのメールアドレスを複数の端末で使う場合に、IMAPとPOPを混ぜて使うと、思いがけないトラブルや管理の混乱が起きることがあります。メールアドレスごとに「IMAPだけ使う」「POPだけ使う」といったルールを決めておくと安心です。

メールサーバー

ここではひとまとめにメールサーバーと呼んでいますが、 実際には、SMTPを使ってメールのやりとりを行う送信サーバー (SMTPサーバー) と、 POPやIMAPを使ってクライアントへのメールの配送に携わる受信サーバー (POP サーバー、IMAP サーバー) という2つのサーバー機能によってメールの送受信は実現されています。

POP・IMAPそれぞれの利点

POPの利点

POPは、メールをパソコンやスマホに取り込んで保存し、サーバーから削除するのが基本の使い方です。

  • サーバーの容量を使わない
    メールを自分の端末に保存するので、メールサーバーのストレージがいっぱいになる心配がありません。
  • インターネットがなくても読める
    一度受信してしまえば、メールはパソコンの中にあるので、オフラインでも読むことができます。

向いているケース
→ メールを1台のパソコンで管理したい人、サーバーの容量を節約したい人。

IMAPの利点

IMAPは、メールをサーバーに残したまま、必要な時だけ見に行く仕組みです。

  • どの端末からでも同じ状態で見られる
    パソコン、スマホ、タブレットなど、どれで見ても「未読/既読」やフォルダ分けの状態が同じになります。
  • 端末の故障でも安心
    メールはサーバーに保存されているので、もしパソコンが壊れても他の端末から同じメールを確認できます。

向いているケース:
→ 複数の端末で同じメールアドレスを使いたい人、出先でもメールをチェックしたい人。

このページのTOPへ