n06)3C分析によって自社の強みを言語化する
2025年06月22日
「対象顧客を明確にする-ペルソナの作成方法」でターゲットとする顧客を定めたら、3C分析によって自社の「強みや売り」を明確にして言葉にしてみましょう。「顧客または市場 (Customer) 」「自社 (Company) 」「競合 (Competitor) 」という3つの視点で自社の置かれている競争環境を整理します。
小さな会社は自社の優位性を明確にするのと同時に、魅力的にアピールする言葉選びが重要です。
お客様が「他社ではなく自社を選ぶ理由」 は?
インターネットで数多くの情報を取得できるようになった現代、サービスも価格も「比較される」ことが前提となります。 同じ商品や類似サービスを提供する同業他社が多数ある中、お客様に自社の商品やサービスを選んでもらうためには、「他社ではなく自社を選ぶべき理由」をあらかじめはっきりとさせておく必要があります。選択肢がたくさんあることを知っているお客様に「なぜその会社なのか、なぜその商品なのか」をはっきり示さなければ選ばれません。
自社の「強み」や「売り」の言語化です。
「強み」は相対比較で決まる
自社の強みを検討するには「強みは相対的な比較によって決まる」ものであることを理解しておく必要があります。
例えば 「24時間対応」 を売りにした場合、同業他社も 「24時間対応」している場合には強みにも売りにもならないということです。自社の強みは同業他社との比較によって優位性のあるもの、自社だけのものである必要があります。
さらに、対象顧客が求めているニーズと合致していなければ誰にも選んでもらえませんから、強みや売りになりません。深夜や早朝への顧客ニーズがないのであれば 、たとえ「24時間対応」が自社だけであっても売りにならないということです。
ここで「3C分析」による 自社の「強み」の見つけ方を紹介していきます。
3C分析とは「顧客または市場 (Customer) 」「自社 (Company) 」「競合 (Competitor) 」という3つの視点から、自社の置かれている競争環境を整理するために使用する「方法論」です。 3方向から見る戦略分析「3C分析」によって自社の強みを発見する流れを紹介します。
①対象顧客のニーズを明らかにする
対象顧客(=自社がターゲットとするペルソナ)が自社の提供する商品を購入したり、サービスを利用する際に、何を重要視するのかを明らかにします。例えば製造業であれば「品質」「納期」「価格」「信頼」 があげられるでしょう。また、スキンケア化粧品であれば「成分」「安全性」「口コミ評価」「価格」「発色」などによって選ばれると思います。こういった顧客の検討要素を明らかにしていきます。
②顧客ニーズに対して競合を評価する
顧客側のニーズが明らかになったら、①で挙げた項目について自社と競合の対応レベルを、 ○△×の3段階で評価します。比較する競合の数は、3~5社程度とします。
例)化粧水をサンプルとした3C分析
顧客ニーズ | 自社 | A社 | B社 | C社 |
---|---|---|---|---|
成分 | ⚪︎ 独自配合成分 | △ | ⚪︎ | △ |
安全性 | ⚪︎ | △ | △ | ⚪︎ |
ブランド実績 | × | ⚪︎ TV CM | ⚪︎ | △ |
価格 | △ | ⚪︎ | × 高級路線 | △ |
つけ心地 | ⚪︎ | × | △ | ⚪︎ 口コミ多数 |
※最初は3段階程度で簡単な評価から徐々に厳密な細分化に慣れてください
③ 評価結果から自社の強みのもとを見つけ出す
評価表に○△×で整理された項目を全体的に見渡しながら、自社が他社より優れているポイントを探ります。特に、競合がすべて「×」で、自社だけが「○」となっている項目があれば、それは自社ならではの強みを生み出している要素だと考えられます。
【強み】比較的新しいブランドコスメのためブランド名はまだ浸透しきっていないが、独自で組み合わせた成分配合は他社にはない。つけ心地にもこだわりしっとり感が喜ばれ、口コミ評価も高い。

自社の強みを言葉に落とし込む
「他社ではなく自社が選ばれる理由」が明確になったら次に「強みの明文化」 です。自社の強みや優位性は言葉にしないと顧客側には伝わらないため、自社の強みや優位性を具体的な言葉(=キャッチコピー)にします。
「自社は○○が売りです」 と商品提供者側が思っていても、業界に精通していない人や顧客側にはそれが理解できなかったり伝わっていないことがあります。
自社の強みや優位性をもとに対象となる顧客へ 「魅力的でわかりやすいキャッチコピー」 により効果的に伝えてあげましょう。
自社の強みや優位性を明文化する「エレベーターピッチ」
「エレベーターピッチ」とはアメリカ・シリコンバレーが発祥とされるプレゼンテーション手法で、エレベーターで偶然出会った相手に対して、短い時間(約30秒〜1分)で自分や自社の魅力を簡潔に伝えることを目的としています。
「エレベーターピッチ」は「短時間で魅力を伝える自己PR」として、
・3秒で伝えるキャッチコピー
・30秒で伝えるプロフィール
の2つをセットで考えてみましょう。
・3秒で伝えるキャッチコピー:
自社または自社の商品・サービスを一瞬で説明するひとこと
・30秒で伝えるプロフィール:
それをもう少し詳しく魅力的に伝える説明文
です。このエレベータピッチを作る際のポイントを3つ紹介します。
①対象顧客が誰なのかがわかるように
「○○業界専門」 というようにどのような人向けなのかが明確であるほど受け手は「自分のこと」と捉えやすくなり、「あなたへのメッセージ」としていちばんのアピールとなります。
②数字を使って具体的に
「製薬会社が抽出した3つの天然美白成分・2つのこだわり潤い成分を配合!」 という言葉を見ると期待感が持てますね。それはメッセージが具体的だからです。
大手企業や有名企業の場合は 認知度が高く既にイメージもつくられているため、抽象的な表現でも注目する人は一定数いますが、小さな会社の場合は実利がないものは心に留まりにくいのです。
抽象的な表現は避けてできる限り具体性を持たせ、顧客に直球を投げ、制約に直結する言葉にします。
③ 万人ウケは狙わない
エレペーターピッチは誰にとっても魅力的である言葉にすると「誰にも響かない」メッセージになってしまいがちです。自社がターゲットとするペルソナだけに響く内容を考えましょう。
エレベーターピッチの例
Before:肌に優しい化粧水をお探しのあなたへ。つけた後のしっとり感が好評!天然成分による美白とこだわりの潤い成分であなたの美肌をサポートします。
→対象も効果も抽象的で誰に向けて発信しているかが分かりにくい
↓ ↓ ↓
After:その敏感肌に確かなやさしさを。製薬会社独自の知見から生まれた3つの天然美白成分と、2つのうるおいエッセンスが肌になじみ、内側から輝くような透明美肌を育みます。
→敏感肌用、成分が独自配合、使い続けたときに期待できる効果が明確で具体性がある
エレベーターピッチの用途
作られたエレベーターピッチは、Webサイト、SNS、動画コンテンツ、名刺、商品・会社案内のパンフレットなど、さまざまな用途で発信できます。Webサイトに活用する場合はファーストビューのメインとなる場所に記載することもできるでしょう。媒体に応じて、適した文字数や表現が変わりますのでそれぞれカスタマイズをしならが活用できます。 自社の魅力がこれまで以上に伝わるようになるはずです。