n05)対象顧客を明確にする-ペルソナの作成方法

2025年04月21日

万人ウケは誰にも響かない

誰を対象として集客するのかによって、打つべき施策や競合相手、自社の強みなどのさまざまな要件が決まります。ネット集客で最初に検討することは「対象顧客の絞り込み=ターゲット設定」 です。売り上げや顧客数を増やすためにターゲットは広くとらえるべきだと考えてしまいそうですが、小さな会社がターゲットを広げると「総花的な存在」になる傾向にあります。
万人ウケを狙うのではなく、あえて特定の層に絞って、必ずファンにするという目標を持ちましょう。ターゲットの絞り込みは通常のマーケティングでも行われ、ネット集客においてもあてはまる考え方です。

ターゲットを絞り込むメリット

ターゲットを明確に絞ることには、「自社の強みや独自の魅力を打ち出しやすくなる」という大きなメリットがあります。特に中小企業や個人事業主にとっては、他社と比べて際立った優位性を見つけるのは簡単ではありません。
しかし、対象とする顧客層を絞り込むことで、その集団に共通する課題やニーズが見えてきます。
その結果として、「誰に」「何を」「どうやって」届けるべきかが明確になり、自社ならではの価値やアプローチ方法を構築しやすくなります。

もうひとつのメリットは、ネット集客の施策精度が上がることです。

たとえば化粧品を例に考えてみましょう。
「美白効果が期待できる化粧水」とアピールすれば、肌を明るく見せたいというニーズを持つお客様には、「価格の安さ」を売りにする化粧水よりも魅力的に映るはずです。
このように、「誰に、何を伝えるか」が明確になると、「どんなアプローチが効果的か」「どう訴求すれば反応があるか」といったマーケティング戦略も立てやすくなります。

さらに、化粧品のキャッチコピーを作るときにも、ターゲットが明確であればあるほど、その人たちの共感を呼ぶ言葉を選びやすくなります。
逆に、誰にでも当てはまるような無難な表現にしようとすると、印象に残らない・特徴のないコピーになってしまい、結果として「誰の心にも響かない」メッセージになってしまうのです。

ターゲット設定の方法

ターゲットを絞り込むメリットを確認していただいたら、具体的なターゲット設定の方法を考えてみましょう。ターゲット設定にはさまざまな方法がありますが、ここではマッピングによる設定方法を提案します。下図のように2つの異なる軸によって、4つの象限をマッピングすることによって、 自社の対象を定止める方法です。ここでは化粧水をモデルケースとしたターゲットマッピングを作成しています。


このように2つの異なる軸でマッピングして検討することで、対象とするべきターゲットを決めやすくなり、競合の盲点をついた独自のポジションを見つけることができます。

ターゲットを絞り込むのが難しいときは

ターゲットをなかなか絞り込めないときは、「消去法」を使って考えるのもひとつの方法です。
逆の発想で、「こんなお客さんは顧客になりにくい」「自社商品に合わない」という人物像を考えてみましょう。

たとえば、
「大企業の商品しか買わない人(=価格やブランドだけで選ぶ人)」
「流行に流されやすく、リピーターになりにくい人」
といったように、自社に合わない顧客像をはっきりさせることで、
その反対にいる「自社にぴったりなターゲット像」が自然と見えてくるようになります。

ペルソナを作成する

ペルソナとは?

ターゲット設定によって対象顧客が絞り込まれたらペルソナを作成します。ここでいうペルソナとは自社の商品やサービスを買ってほしい具体的な理想の顧客像のことです。
年齢や性別、住所や職業のような属性情報の他、どのようなことに興味関心があるのかや、何に困っているのかなども具体的に深掘りして設計してプロフィールを作成します。

ペルソナの例

名前Aさん
年齢35歳
住所東京都
仕事会社員
業種出版会社企画部
規模従業員100人
技術・能力記事(文章)作成が得意。数字が苦手
歴史好きで老舗に価値を見出す
毎日パソコンを使って企画を練り、編集作業を行っている
ファッションにとても興味がある
悩みごと顔のシミが気になってきたがケアする時間がない
あまり効果な化粧品は買いたくない(化粧品よりも洋服にお金をかけたい)
ゆっくり化粧品を見に行く時間がない
いつまでも綺麗でいたい

さまざまなネット集客施策において、ブログの記事を書くときや、 Instagramで情報発信する際に、すべてこのペルソナに向けて発信していくようにします。

ペルソナを作成するメリット

ペルソナを作成することによって対象顧客が明確になり、ネット集客に関わる社内スタッフの認識の違いやブレをなくせ、施策の精度が向上します。
たとえばメールマガジンの原稿を書く際、「何をどのように書いていけばよいか」  「この内容は本当に役立つのか」などと悩むことがありますが、ペルソナが用意されている場合は、メールマガジンを読む相手がはっきりと想定されているため、その方へ語りかけるように比較的悩むことなく書き進められます。

最初は簡易的なペルソナで構いません

最初から完璧なペルソナを作ろうとする必要はありません。最初は簡単なペルソナで構いませんし、時間をかけすぎずスピーディーに進めることが大切です。ネット集客を進める過程で、ペルソナに変更や修正を加えながら精度を高めていきましょう。
社内で検討を進める際、ターゲット層について同じ認識を持っていても、具体的な顧客像が異なることがあります。ペルソナ作成は、「自社がターゲットとしている顧客はどんな人か」「ターゲットはどんな問題に困っているか」を明確にする良いきっかけになります。

ペルソナは複数あってもよい

ペルソナは必ずしも1つに絞る必要はありません。 実際に、ビジネスによっては異なる複数のパターンが存在するケースもあるでしょう。ただし、ペルソナを複数作るデメリットもあります。ペルソナがいくつも存在することで、施策の精度があいまいになってしまうことです。

例えば先のように、メールマガジンの原稿を作成するケースを挙げてみます。
メールマガジンの原稿を作成する精度を向上させることがペルソナの役割だったはずが、話し相手がブレることで、複数のペルソナに該当するような原稿の書き方をしてあたり障りのない内容になってしまうことがよくあります。
ペルソナは複数存在していても問題ありませんが、多くても3人までにしておきましょう。

ペルソナは定期的に見直しましょう

ペルソナ(理想の顧客像)は、一度作って終わりではありません。
ビジネスを進める中で、お客様の反応やニーズの変化に合わせて、少しずつ調整していくことで、より「現実に合ったペルソナ」に育てていくことが大切です。
そのため、最初から「あとで見直すこと」を前提に作るようにしましょう。見直すタイミングの目安としては、年に1回。理想を言えば、半年に1回くらいのペースがベストです。一度しっかりベースとなるペルソナを作っておけば、あとは細かい修正だけで済むようになるので、手間もそれほどかかりません。

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