n07)マーケティングファネル(漏斗:じょうご)の流れをつくる
2025年06月29日
マーケティングファネルとは?
マーケティングファネルとは、見込み客が商品やサービスを認知してから実際に購入に至るまでの一連のプロセスを視覚化した概念で、顧客の行動フローを表現しています。上部が広く下部が狭い構造の漏斗(じょうご=ファネル)の形に似ていることからこの名前が付けられました。
商品やサービスを知ってくれている多くの人の中から何人かが見込み客となり、その中からまた何人かが顧客となる一連のプロセスは「集客のじょうご」と呼ばれることもあります。
顧客になるであろう見込み客にどのように見つけてもらい、どのように顧客になってもらえるのか。その一連の流れを考えてみましょう。
ファネルのステージ
認知段階(Awareness)
潜在顧客が企業や商品の存在を知る段階です。広告やSNS、コンテンツマーケティングなどを通じて幅広いターゲットにリーチします。
関心段階(Interest)
商品に興味を持った見込み客が詳細情報を求める段階です。ウェブサイト訪問やメルマガ登録などの行動が見られます。
検討段階(Consideration)
購入を検討している段階で、競合他社との比較や詳細な調査を行います。資料請求や無料体験の申し込みなどが該当します。
購入段階(Conversion)
実際に商品やサービスを購入する段階です。

これから顧客となる可能性のある「潜在客」を発見し、彼らと信頼関係を築きながら「見込み客」へと育成し、最終的に「顧客化」へと導く一連のステップが重要です。そのためには、「どのようにして潜在客を発見するのか」「どのようにして見込み客と関係性を育むのか」「どのようにして見込み客を顧客化するのか」といった各段階における具体的な施策を検討し、効果的な「集客のじょうご(セールスファネル)」を構築する必要があります。
この「集客のじょうご」は、WebサイトやSNS、ネット広告といった各種オンライン施策を有機的に組み合わせることで、ネットを活用した集客のしくみとして機能します。それぞれの構成要素が連携し、段階的に見込み客の関心を高め、購買行動へとつなげる流れを設計することが成功の鍵です。
広く人を集めて集客の安定を図る
集客のじょうごは複数の施策を組み合わせて設計する必要があります。特定の施策のみに依存してしまうと集客の機会が少なくなるからです。これから顧客になる潜在客と接触する機会が少なく、安定した集客を見込むことが難しくなります。複数の施策を組み合わせることで幅広く潜在客との接触機会を作れ、安定的な集客を期待できます。

マーケティングファネル(集客のじょうご)施作例
【1】不動産業の場合
たとえば「土地活用」や「土地の売買」をサポートする不動産業を例に考えます。不動産オーナーを対象に、SNS広告やGoogle広告を活用してWebサイトへの集客を図ります。Webサイト上では『不動産オーナーのための土地売却のルール』といった無料のPDFコンテンツを設け、ダウンロードをサイトのゴールとします。見込み客がコンテンツをダウンロードすることで、氏名・メールアドレスといった顧客情報を取得し、定期的なメールマガジンで関係性を構築していきます。その後、タイミングを見て「個別相談」の案内を行い、相談を通じて成約へとつなげます。
【2】飲食店の場合
地域密着型のレストランやカフェでは、InstagramやLINE公式アカウント、Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)を活用した集客が効果的です。Googleマップ上で「店名」や「カフェ ◯◯市」などで検索したときに上位表示されるよう(MEO対策)、店舗情報・写真・口コミへの返信を丁寧に整備します。これにより検索流入からの来店率を向上させます。
あわせて、Instagramでは限定メニューや日替わりランチの写真を発信し、投稿やストーリーズから予約サイトやLINE登録へ誘導します。LINE登録者には、月替わりの特典やシークレットメニューを配信することでファン化を促進します。来店者には「次回使えるクーポン」や「友だち紹介キャンペーン」などのオファーを提供し、リピーター化と紹介拡大を図ります。
【3】士業(税理士・行政書士など)の場合
士業の場合は「相続」や「節税」「開業支援」など特定の悩みに対する情報提供が鍵となります。まずはWeb広告やセミナー告知を通じてWebサイトへ集客し、無料レポートや「相続チェックリスト」などのPDF資料を提供してリードを獲得します。その後、獲得した見込み客にはステップメールや事例紹介コンテンツを送付し、信頼感を高めながら「初回無料相談」へと誘導します。相談から具体的な業務依頼に結びつけることで、成約に至る流れを作ります。
【4】美容室の場合
美容室では、InstagramやGoogleマップ、ホットペッパービューティーなどの媒体を活用して集客を行います。まずは、スタイリストのヘアスタイル実績やビフォーアフター写真をSNSで投稿し、予約サイトへの誘導を図ります。初回来店の特典として「新規限定クーポン」や「無料トリートメント」などを提供し、来店につなげます。来店後はLINE公式アカウントへの登録を促し、次回来店の提案メッセージや予約リマインダーを配信してリピート率を高めます。

ファネルの重要性
マーケティングファネルを理解することで各段階での顧客のニーズや行動パターンを把握でき、適切なマーケティング施策を実施できます。どの段階で顧客が離脱しているかを分析することでマーケティング戦略の改善点を特定し、より多くの見込み客を購入につなげることが可能です。効果的なファネル設計により顧客獲得の効率を高めて売上向上を目指しましょう。